2026年3月31日(月)、今回は現在東京都美術館で開催中の『スウェーデン絵画 北欧の光、日常の輝き』展に行ってきました。
過去に静岡に住んでいたのですが、その際に訪れた静岡市立美術館の「北欧の神秘」展がきっかけで、北欧美術に興味を持ちました。そこで出会った一人の作家——その絵が忘れられず、今回の展示へ足を運びました。
1. 今回の主役:アウグスト・ストリンドバリ《海辺の風景》について

作家名: アウグスト・ストリンドバリ
制作年: 1903年
技法: 油彩
所蔵:スウェーデン国立美術館
今回の目的は、ストリンドバリの作品を観ることでした。
特に印象的だったのが《海辺の風景》(1903年)です。
この作品を前にしてすぐに気づいたのは、以前「北欧の神秘」展で観た《街》(1901年)と構図がほぼ同じであることでした。
空、水平線、そして地表——シンプルでありながら、構成力が際立っていたように感じます。
2. 私が感じた「美」のポイント
構図の潔さと広がり
画面の大部分を占めるのは、雲の多い空です。
その下に水平線と海、そして花が咲く浜辺が配置されています。
要素自体は非常にシンプルですが、視線は自然と上下へ導かれ、結果として画面全体を何度も往復するように見てしまう構成になっていると感じました。
絵具の重厚さと繊細さの同居
ストリンドバリといえば、ペインティングナイフによる大胆なマチエールが特徴的ですが、この作品ではその力強さが別の方向に活かされているように感じました。
厚く置かれた絵具が、むしろ雲の霞や濃淡を驚くほど繊細によりリアルに表現しています。
荒々しさと静けさが同時に成立している点が、とても印象的でした。
小さな白が生む視線のリズム
浜辺に描かれた小さな白い花。
一見するとささやかな要素ですが、この白があることで視線が下へ引き寄せられます。
その結果、空と地面の対比がより強調され、画面全体を意識させる仕掛けとして機能していると感じました。
3. 展示空間の雰囲気
今回訪れたのは東京都美術館です。
平日の午前中に訪れましたが、上野公園はちょうど花見シーズンで、多くの人で賑わっていました。
また、駅に近い国立西洋美術館も人が多く、周辺一帯はかなり混雑していました。
ただ、美術館の中に入ると空気は一変します。
立地的にも駅から少し離れて奥まったところに美術館が位置するため、
外の喧騒とは切り離された空間で、作品と静かに向き合うことができました。
4. まとめ:日常に持ち帰ったもの
同じ構図であっても、描かれる対象や絵具の扱いによって、ここまで印象が変わるのかと実感しました。
以前観た《街》と今回の《海辺の風景》。
その記憶がつながったことで、作品を単体ではなく「作家の思考」として捉えられたように感じます。
鑑賞後、外に出ると、空の雲や光のグラデーションに自然と目が向くようになりました。
何気ない風景の中にある変化に気づきたい方に、ぜひおすすめしたい体験です。
■ インフォメーション(基本データ)
場所: 東京都美術館
会期: 〜2026年4月12日まで
公式サイト: スウェーデン絵画 北欧の光、日常の輝き
アイキャッチ画像:アウグスト・ストリンドバリ『海辺の風景』(一部をトリミングして使用)